淫獣聖戦ZZ 第3章 改訂版
著者 : パンダパン




「なんと、オババさま、結界が破られたと申されましたかもし」
亜衣と麻衣が学校で鬼獣淫界の襲撃を受けていた頃、天津屋敷では木偶の坊が幻舟の霊に、天神学園を護る結界の消失を告げられていた。
愛する亜衣と麻衣の危機に、幻舟は天神子守衆の巫女の一人を憑坐にするという強行手段で急を知らせたのだ。

『木偶の坊殿……亜衣と麻衣を…』
そこまで口にしたところで、強引な憑依に耐えきれなかったのか、憑坐の巫女がひきつけを起こしたかのようになり、硬直し、くずおれる。

「オババさま! もし!?」
木偶の坊が失神した娘を抱きとめて呼びかけたが、もはや反応はない。

「むう! 亜衣さま、麻衣さま、今すぐ参りますぞなもし!」
木偶の坊はそう吠えて六尺棒を引っ掴むと、子守衆たちに鬼麿のことを頼み、疾風のごとく走り出た。

天神子守衆の巫女たちは屋敷中を捜しまわり、亜衣の部屋で下着を物色中の鬼麿を見つけだした。
そのまま道場へ連れて行き、皆で祝詞を唱えて、淫魔を退ける結界を張った。





亜衣は驚異的な克己心で湧きあがる肉欲を抑えつけ、必死で耐えていた。
もともと亜衣の中には、肛門が性交に用いられるものだという意識などない。
ただの排泄器官であるそこを貫かれるなど、おぞましいことこの上ない。まして快感を得るなど、あり得ないことのはずだった。
しかし、その亜衣の意志に反して、身体はどうしようもなく反応してしまっている。
それは粘膜から吸収されたラーガの淫液の効果に違いなかった。
量を増した愛液がわななく襞を伝い、蟻の門渡りを経て、今やヒクヒクと震えて口を開いた亜衣の蕾に流れ込み、そこからまたポタ、ポタ、と滴り落ちる。
快楽に堕ちまいと必死に堪える全身が、小刻みに痙攣していた。

「どうだ、亜衣。これが欲しくてたまらなくなってきているのではないか?」
ラーガが嘲りの声をかけ、亜衣の目の前で触手を左右に振ってみせる。
ザワザワと表面を蠢かせるそれを見ただけで、意志とは裏腹に亜衣の下腹部がたまらなく疼いた。しかし、

「くっ、誰が!」
亜衣は気丈にも言い返す。

「ククッ、我慢強いことだ。だが、そうでなくてはな」
「卑怯者! 私をこうして捕らえたのだから、皆を放しなさいよ!」
「ほう、まだそんなことを考える余裕があるとはな。……面白い。よかろう、彼奴らは放してやっても良い。うぬの心がけ次第ではな」
「……本当でしょうね?」
意外な言葉に驚きを覚えつつ、亜衣が訊き返す。

「信じぬのは勝手よ。どうするのだ?」
ラーガの目にからかうような光が浮かぶ。結局は亜衣を嬲ることを愉しもうとしているのだ。
だが、それが分かっていても、選択肢は残されていなかった。

「………わかったわ」
決意を固めて頷く。

「それで良い。クククク…」
満足げに笑うと、ラーガは亜衣の耳もとに口を寄せ、何事かを囁いた。

「…………くっ!? そんなことっ!!」
亜衣の表情がみるみるうちに怒りで歪み、吐き捨てる。

「できぬか? できぬのであれば、それでも一向に構わぬがな」
「………くぅっっ!……わかったわ。……そのかわり…必ず皆を解放しなさいよ!」
亜衣は絶望のなか、絞り出すように言った。

「無論のこと。……さあ、まずはうぬの誠意を見せてもらおうか。皆に聞こえるよう、大声でな」
「くっ………」
「どうした? さあ、早くするがいい」
「わかってるわ!」
亜衣は逡巡を振り払うかのように首を振ると、口を開いた。

「ラ…ラーガさま………」
「どうした、そのような声では聞こえぬな」
「………う……ラーガさま、もう……我慢ができません。お願いです、わたしのお……おし……」
「もっとはっきりと言え!」
「わた、しの……お、お尻を、もう一度あなたの逞しいもので、激しく突いて……グチャグチャにして下さい!――」
嫌悪と羞恥に顔を歪め、亜衣がやっとの思いで言葉を吐き出した。
プライドをずたずたに引き裂かれた亜衣の目から、堪えきれずに涙がこぼれる。

「ケケーッ、聴いたかおい! あの女、可愛い顔して、とんだ好きモノだぜ!」
「おお、ド淫乱もいいとこだ! ラーガ様の太いモノに、ケツの穴をかき回してほしくてたまんねェとよ!! とんだ巫女さまだぜ!」
亜衣の言葉を聞いた邪鬼たちが、興奮して騒ぎだす。

「ハーッハッハッハッ!! そうか、これが欲しくてたまらぬか! この色情狂が! よかろう、望み通り存分に貫き、かき回してくれる!!」
言うが早いか、ラーガの股間の触手が、再び亜衣の後ろの排泄のための穴にズヴゥッと突き入れられた。

「くあぁぁぁっっ!!」
狭い穴を強引に貫かれる苦痛と、先程にはなかった強烈な快感に、亜衣が絶叫する。

亜衣の奥の奥まで激しく突き入れられた長大な触手は、ズルズルと引き戻り、出口付近まで来て、またズンッと突き入れられる。
人外のストライドを誇るその往復運動に、表面にびっしりと生えた黒毛の与える刺激、そして分泌される媚薬成分の働きが、一体となって亜衣を攻めたてる。
亜衣の肛門と淫鬼の性器との結合部から、ジュプッ、ジュプッ、と濡れた音が間断なく聞こえていた。

「あっ! あはっ! んン、くっ、はああっ……フアァッ、あうっ!」
押さえようもなく、亜衣の口からは淫らな声がこぼれてしまう。

快楽に喘ぐ亜衣の後門を心ゆくまで陵辱しつつ、後ろからその見事な胸を鷲づかみにし、荒々しく揉みしだく。
指でピンク色の乳首をつまみ、強くねじりあげてはこねくりまわす。

「うあ、やっ、はぅぅっ、やめっ……うンンッ」
「得も言われぬ好い具合よ! 咥えこみ、吸いついて放さぬわ!」
ラーガが愉悦の声をあげた。
頭の中が真っ白になるほどの快楽に、亜衣はただただ翻弄されていた。

「さあ、亜衣よ、次は……」
ラーガがまた亜衣の耳に囁きかける。

「そ、そんな……ハアッ…アァ……わ、わかったわ」
抵抗の無意味さを悟ったのか、亜衣は素直に頷く。歯を食いしばり、屈辱を噛み殺すようにしてから、また口を開いた。

「ラーガさま……あっ……気持ちい…ハァンッ……気持ちいいです。もっと、私のこの汚らわしいお尻をいたぶって下さい…あぅっ……お願いします!…クゥゥッ!」
無理矢理に言わされたはずの卑猥な言葉が、自らのヨガリ声と入り混じり、まるで本心からであるように聞こえ、亜衣は動揺した。

(しっかりするのよ! こんな卑劣な辱めに屈して、自分を見失っては駄目!)
折れてしまいそうな心を、亜衣は必死で立て直そうとする。

「ケケケケッ、股をおっぴろげて、ケツの穴いっぱいに咥えこみながら、もっともっとだとよ!」
「ケツを犯されながら、ホトからあんなに蜜を溢れさせてやがるぜ!」
「あれだけヒイヒイよがりながら、まだ足りねぇとよ! 底なしのスケベだぜ」
邪鬼たちが聞くに堪えない言葉で辱めた。

「ほぅれ、お前らもよーく見てやりな。淫乱天女さまの愉しむ姿をな。イーヒッヒッ、ホトがグチョグチョに蕩けてやがる」
邪鬼が耳を塞いでうずくまっていた女生徒を引き起こし、亜衣のあられもない姿を無理矢理目に入れさせる。

「ハーッハハハッ! 亜衣、すっかり淫らの本性をあらわしおって! ほぅれ、もっとよがり、乱れ狂うがいい!! このメス豚が!」
ラーガが吠えるように言い捨て、触手をさらに激しく突き動かす。亜衣の豊かな胸が、それに合わせてユサユサと大きく揺れた。

「くうぅっ! ああっ!ああっ!ああっ!」
内部でぞわぞわと蠢き、吸いつきこすりたて振動する淫毛が与える人外の快楽が、亜衣を狂わせる。

「はぁぅ……やぁ、や…はっ……ふぅ………あんッ、な、なに!?」
(ありえない! お尻がこんな! こんなことって――!?)
今まで感じたことのない異様な感覚がこみあげ、亜衣は戸惑いの声をあげた。

「何?――はあっ、こんなっ? や…んあっ……なにか…来……」
未知の感覚に対する恐怖で、亜衣の心の一部が緊張する。
しかし、身体の奥底から噴出するような快感が急速に膨れあがり、亜衣を呑み込もうとする。
それは亜衣が初めて経験する、エクスタシーの波であった。
今まで鬼獣淫界の刺客たちによる様々な陵辱にも、快楽に堕ちる寸前で踏み止まってきた亜衣は、未だに絶頂を経験したことはない。
その一線が今、破られようとしていた。

「ああっ!? 駄目、くぅっ、こんな…おかし……ひあっ、ダメ、ダメよ! くああっ――!?」
何とか踏み止まろうとする亜衣の潤んだ瞳に、切なげな光が浮かぶ。
意志に反して快楽を貪ろうとする身体を必死に抑え込むため、全身が緊張に強張っていた。
しかし、抵抗も虚しく、ラーガの間断ない責めに堤防は決壊しようとしていた。
肉体の反応を拒もうと、亜衣は絶叫する。

「つっ……! くぅぅぅぅぅっ、駄目ぇぇぇぇっっっ!!」
その瞬間、亜衣の奥深く突き入れられたラーガの触手が、凄まじい勢いで振動した。内壁を数千匹の蟲がゾワゾワと這い回る人外の快楽。
同時に、情け容赦ない力でラーガが性感の大元となる陰核を指先でつねりあげる。

「あひぃっ!?」
あまりに強すぎる衝撃に、亜衣が珍しく一切の余裕のない剥き出しの悲鳴をもらしてしまう。
それに導かれるかのように、身体の奥から噴出した白熱のような絶頂感が満ち弾け、亜衣の全身を貫いた。

「―――ッ!!!ふぁぁっ、はぁ……こんなこと…はっ、ああっ!!? は…うあ……ゃ…だめよ…ア、アァァァァァァーーッッ!!!」
こらえきれず、ついに絶頂を迎えた亜衣の口から、肺の空気を残らず絞り出すかのように、意志とは関係ない甲高い声が溢れ出す。

「あ!! あ!!」
亜衣はビクビクと激しく痙攣しながら、全身を硬直させる。
ビヂュッ、ビヂュッと音をたてて、亜衣の割れ目から潮を吹くように愛液が噴き出し、それに混じって花弁の護符も流れ出てしまっていた。

「おおおおおおおおっ!!」
絶頂に達した亜衣の肛門が万力のような力で締めつけ、ラーガは喜悦の声をあげる。
たまらずに触手の先から熱い液体が迸り、亜衣の中を汚す。

ドプッ ブジュルッ ゴポッ
放出された精のあまりの量に、隙間なく塞がったはずの穴から、白濁した汚液がこぼれ出て、滴り落ちた。
存分に亜衣の尻に注ぎ込んで、ラーガが触手を引き抜いた。何度も放出したはずの淫鬼の性器は、しかしさらに精を噴出する。
ビュビュッ、ビュビュッと勢いよく飛んだそれが、凄まじい快感によって虚脱した亜衣の顔や胸、身に纏った弓道着に飛び散り、ベットリとこびりついて汚していく。
虚ろな表情でされるがままになっている亜衣の身体にブルッと震えが走り、次の瞬間、微かな水音が生じた。

「い、嫌……止め……」
身体の自然な反応を抑える余力も残らぬ亜衣が、しかし微かな願望を必死に口走る。その願いも空しく――

……チョロ……チョロロ…チョロロロ、シャー……
人外の刺激による初めての絶頂にすっかり弛緩しきった亜衣の極細の排泄口から、黄金の聖水が迸り、弓道場の木の床板に水たまりをつくっていく。

「…ぁ……」
絶望とも諦念ともつかない消え入りそうな声が、亜衣の口からもれ出た。

「ケーケケケッ、なんてやつだ、尻穴を犯されてイキやがった!」
「ウヒョー、見ろよ、あんまり良すぎて、小便までもらしちまいやがったぜっ」
「ケツからもたっぷりこぼしてるぞ! すっかり弛んでガバガバだ!」
汚液にまみれ、失禁までしてしまった亜衣に、邪鬼たちが蔑みの言葉を投げる。

ポロリ、と、指一本動かせぬフリーズ状態の亜衣が、一筋の涙を流した。
邪鬼の嘲りに言い返す気力すら失い、絶望と汚辱の中で、亜衣はついにその意識を手放した……。





「兄者」
気絶した亜衣の身体をラーガが無造作に肩に担ぎ上げた時、ラージャが姿を現した。

「おお、ラージャか。首尾は……ふ、訊くまでもなかったか」
「無論のこと。天津麻衣、もの足りぬほどにたやすく堕ちおったわ」
そう冷笑するラージャの肩にも、気を失った麻衣が乗せられていた。

セーラー服とソックスは身につけたまま、瑞々しい丸尻と、張りのあるすらりと伸びた脚だけが、あられもなく剥き出しにされている。
むっちりとした太腿の合間から、微かに慎ましやかな草むらがのぞく。そこは今にも滴り落ちそうなほどの匂いたつ蜜液で、しっとりと濡れていた。

亜衣の方は、所々はだけられ、一部が引き裂かれた弓道着を身に纏った、倒錯的な姿である。
いつもは品格をたたえるその顔は、今は無惨にも汚液と涙にまみれていた。
アナルからはたっぷりと注ぎ込まれた淫獣の汚らわしい精が溢れ出て、花唇から流れ出る淫蜜と入り混じり、腿を伝い落ちている。
誇り高い天津の巫女の肢体に、あまりに非道な陵辱であった。
亜衣が身につけている衣服にも、大量の白濁液や粘液がこびりついていた。

ふたりの無惨な姿は、鬼獣淫界の鬼どもの容赦ない責め苦の激しさを物語っているかのようだ。
……だが、鬼獣淫界の手に落ちた姉妹へ与えられる淫虐は、これでもまだ手始めでしかなかった。

「では早速、小娘どもを鬼夜叉童子さまのもとへ連れて参ろうぞ」
「おうよ! されば兄者、姉妹を連れて、一足先に鬼獣淫界へ戻られよ。我は淫魔大王様をお迎えして参ろうほどに」
「うむ。ラージャ、まかせたぞ。我らが宿願を果たすために、鬼麿さまをお連れせよ」
「ククククッ、此度こそはこの世をば蹂躙し尽くし、淫らの世と成さん!」
ラージャはそう言うと、麻衣をラーガに預け、天津屋敷へ向かう。

「では参るぞ!」
ラーガが威厳を込めた声で告げた。

「ケーッケッケッケッ! そうれ、お前たちも来るんだ」
「鬼獣淫界で、たっぷり可愛がってやるからよ」
「いやぁ!」
「誰かァッ! 助けてぇっ!」
邪鬼たちが高笑いをしながら、悲鳴をあげる女生徒たちを引き立てる。

亜衣と麻衣、そして天神学園の生徒たちを引き連れ、一行の姿は何処へか消え去って行った。





木偶の坊は天神学園に到着すると、感覚を研ぎすませて邪気を探った。

(あそこぞな!)
木偶の坊の鋭敏な感覚は、すぐさま邪淫の気配をキャッチした。

「亜衣さま、麻衣さまぁっ!」
叫びながら弓道場へと乗り込む。
しかし、そこはすでに藻抜けの殻であった。

「ぬうぅっ、遅かったでござるか!」
木偶の坊は無念の形相で立ち尽くした……。





木偶の坊が天神学園に入った頃、天津屋敷には入れ違いで鬼獣淫界の淫鬼、ラージャが辿り着いていた。
屋敷の周囲には侵入を阻む結界が張られている。
踏み入ろうとしたラージャの身体に、バチィッ!――と衝撃が走る。

「ふん、小賢しい」
ラージャが右手を前に差し出した。
サラサラサラサラ……
指の間から、光る粉のようなものが流れ出す。それは結界をすり抜け、屋敷内へ漂っていった。

道場では天神子守衆の巫女たちが、真剣な面持ちで祝詞を唱えていた。その中心で、鬼麿は退屈を持て余していた。
たびたび子守衆の娘たちにちょっかいを出そうとするのだが、必死に祈る姿に気勢をそがれ、どうにも手が出せない。
欠伸を噛み殺して、鼻をほじったり、足をぶらぶらと動かしたりしている。
と、ラージャの放った粉が、隙間から入り込んで道場内を漂っていく。それは、一心に祝詞を唱える巫女たちのもとに達した。
見る間に女たちの額に脂汗が滲み、眉根が苦しげに寄せられる。息が荒くなり始め、ぴったりと合っていた祝詞がずれ始めた。

(……?)
鬼麿は怪訝そうな表情を浮かべ、ピョコンと座り直して、間近の一人を見つめる。
一心不乱に祝詞を唱えるその顔には、明らかに苦悶の色があった。

「どうしたのじゃ?」
鬼麿はそう問いかけて、歩み寄って肩に手を触れる。
――すると、

「はああっ」
いきなりビクンッと反応したかと思うと、巫女の口から官能的な喘ぎがもれた。
それを合図にしたかのように、祝詞が完全に途絶え、あちこちで悩ましい声があがる。

「あはん、ああ、あん、ふあぁぁっ」
貞淑な子守衆の娘たちが胸をはだけ、自ら揉みしだき、股間に手を差し入れて快楽を貪っていた。

「あわわっ、皆いったいどうしたのじゃ!?」
鬼麿が眼を丸くして問いかける。

「ハアッ、アアッ、鬼麿さま! はううっ」
子守衆の一人が鬼麿に危機を訴えようとしたが、快感に思考をかき乱され、言葉を続けることが出来ない。

「おほおっ、何がどうなっておるのだ?」
鬼麿は目をギンギンに充血させて、女たちの淫らに悶える姿に釘付けになっている。

普段は性的なところなどおくびにも出さないだけに、清らかな巫女たちの乱れる姿は、異様なまでに興奮を誘う。
鬼麿は外見に不釣り合いな程に大きい股間の逸物を滾らせながら、子守衆の艶かしい乱れように夢中になっていた。
もはやこの状況に対する疑念などは頭から出ていってしまったようだ。
と、いきなり――

「さあ鬼麿さま、お迎えに参りましたぞ」
背後からかけられた声に、鬼麿は驚いて振り返った。

「だ、誰だ!?」
焦って振り向いた先に、濃紺の肌をした淫鬼の巨体があった。

「お前は鬼獣淫界の!!」
「ラージャと申します、淫魔大王さま。以後お見知りおきを」
そう言って慇懃に礼をする。

「ま、麿は淫魔大王などではない! 鬼獣淫界になど行かないぞ!」
後ずさりながら、鬼麿は必死にそう言った。

以前淫魔大王として覚醒させられたために、天津のオババを始め、何人もが犠牲になっていた。
自分が再び鬼獣淫界の手に落ちれば、その悲劇が再び繰り返されることになるかもしれない。

「帰れ! 麿は行かないったら行かないんだからな!」
鬼麿がだだをこねるように叫ぶ。

「はて……それは困りましたな。淫魔大王さまにお捧げするため、天津の姉妹をば、一足先に鬼獣淫界へ送っておりましたが……」
「何? 亜衣と麻衣を!?」
「左様でございます。しかし鬼麿さまが行かぬと仰せであれば仕方ありませぬ。亜衣と麻衣はそのまま、我らが慰みものといたしましょう」
「あ、亜衣と麻衣に手を出したら承知しないぞ!! あの二人は麿の女なんだからな!」
鬼麿は拳を握り、毅然として言い放った。

「――我と共に参られますかな?」
ラージャが有無を言わせぬ口調で迫る。

「……わかった。麿も一緒に連れていけ」
鬼麿は意を決したように頷いた。

「では鬼麿さま、こちらへ」
ラージャが手を差し伸べる。鬼麿がそれを掴むと、ラージャは軽々と抱えあげ、鬼麿を肩に乗せた。

(亜衣、麻衣、待っていろ! 麿が必ず助けに行くからな…)
ラージャの背から無数の触手が伸びて、快楽に悶える天神子守衆の身体に巻きついていく。

「さあ参りましょうぞ。鬼獣淫界で皆が待っておりますれば」
そう告げて、ラージャは身を翻した。





鬼獣淫界では、亜衣と麻衣を手中にしたラーガが、鬼夜叉童子のもとへ向かっていた。
二人は裸に剥かれ、邪鬼たちの手によって一度身体を隅々まで洗い清められていた。
それから肌に香油を塗り込められ、両手を縛られた状態で、別々に輿に乗せられていた。

輿と言っても、四方に布などは張られておらず、中は丸見えである。
縛られた両腕は天井部分で固定させられていて、姉妹は膝立ちを余儀なくさせられている。
そして両脚に跨がせるようにして、縄が前後に渡されていた。
輿を運ぶ邪鬼たちが大きく揺らすたびに、その縄が女陰に深く食い込み、こすれて刺激を与える。
ラーガの淫液とラージャの媚術によって淫らのなかに堕とされた亜衣と麻衣の身体は、堪えきれずにそれに反応を返してしまう。

「くああああっ」
「はぁぁんっ」
チクチクする荒縄の強い刺激が、感じやすくなった股間を激しく燃え上がらせる。
さらに縄にはいくつか小さな瘤がつくられ、それが真珠をいたぶり、前後の穴を押し開き、絶妙な責めを加えていた。
溢れ出る蜜が縄の繊維に染み込んで、滴り落ちそうな程にぐっしょりと濡らしていた。

「イヒヒヒヒヒッ、いい声で鳴くでねぇか」
「ケケーッ、見ろよ、我慢できなくて自分からこすりつけてやがるぜ! 気持ちよくてたまらねェとよっ」
邪鬼が快楽に悶絶する姉妹に、嘲りの言葉を吐き捨てる。

亜衣はなんとか逃れようと、腕で身体を引き上げ、腰をくねらせて縄から股間を離そうと試みる。
しかし邪鬼が大きく揺らしてその邪魔をする。

「あうっ」
たまらずに体勢を崩した亜衣の花唇に再び痛々しく荒縄が食い込んだ。

麻衣は股間をこすられる痛痒い感覚に翻弄され、我を忘れて腰をうねらせ、喘ぎ声をあげていた。

「ふうんんっ、ひあっ、アアンッ」
麻衣の柔らかい、ふるいつきたくなるような乳房が、プルン、プルンと揺れて劣情を誘う。
麻衣の瞳は快楽に潤み、大きく開いた口の端からは、唾液が糸を引いていた。その顔には明らかな歓喜の色が浮かんでいた。

(いや! どうして? どうしてこんなに感じちゃうの?)
麻衣は歯止めの効かない肉体の反応に、自分でも信じ難い思いでいた。
荒い繊維の痛い程の刺激が、灼熱の快感と化して、性器から全身を駆け巡るのだ。羞恥と悦楽の間で溺れそうになる。

「麻衣、流されてはダメ! 気をしっかり持って、耐えるのよ!」
今にも堕ちそうな妹の様子に気づき、亜衣が声をかける。

「う、うん、おねぇちゃん、ごめんなさ……ハ……くうぅっ」
姉の叱咤で我にかえり、浮上しようとするが、股間から突き上げる嵐がいっそう激しく責め立て、かき乱す。

「ひウンッ! ハンッ…あ……クウゥゥッ」
「麻衣!」
「ハーッハッハッ! 無駄よ無駄よ! そやつはラージャの媚蠱によって、淫らの本能に染め抜かれておる。ひとたび火がつけばもう止まらぬわい。
 ほうれ、肉の歓びに身体の芯から打ち震えて、もっともっとと腰を揺すっておるではないか」
ラーガの言葉通り、麻衣の腰は、貪欲に喜悦を味わおうとするが如く、いやらしい軌道を描き出していた。

(あの夢や、屋上で会ったあの人が、ラージャとかいう鬼の罠だったのね!?)
麻衣が、まとまらぬ思考の合間に、状況把握に努める。
しかし、その決意も長くは保つことができない。

「おい、見ろよあのケツの動き! たまらねぇぜ!」
「下の口がパックリと開いて、くわえこんでやがる。ウヒヒッ、襞の間からたっぷり涎を流してるぜ」
邪鬼がここぞとばかりに麻衣を辱める。

「はあうぅぅ〜」
恥辱と法悦に頬を染めながら、麻衣は悩ましい声をあげた。瞳は焦点が定まらず、すっかり恍惚となってしまっている。

「くうう〜っ、この卑怯者! 人質を放す約束はどうしたのよ!」
亜衣がラーガを詰問した。

「ククククッ、彼奴らはまだ必要だからな。あのような言葉、信ずる方が愚かというもの」
ラーガは冷笑を返す。

「人の心配をするなんて、ずいぶん余裕じゃねェか! ほれほれ、てめえもよがりやがれ!」
邪鬼が亜衣の輿をさらに激しく揺り動かした。

「うああっ……ふくぅっ、こんなことで……!」
亜衣は強力な克己心で肉欲を抑え込もうとする。しかしそれを嘲笑うかのように、溢れ出た愛液が内腿を伝い下りていく。

ズリュッ ズチュリュリュッ ブシャッ
濡れきった荒縄の上に柔肉がこすりつけられる度、卑猥な音をたてる。
香油を塗り込められたふたりの肌は、艶かしい光沢を放っている。体温であたためられた香油の香りが、周囲に漂いだしていた。

「クックックッ、ほど良くできあがって来おったようだな。頃や良し! 姉妹をば鬼夜叉童子さまの御前に捧げ奉らん!」
ラーガが哄笑しながら高らかに宣言した。

 眼前に、鬼夜叉童子の待つ祭場が広がっていた。


               (つづく)
 

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